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このページでは電子定款の作成方法や認証を受ける際の注意点などを説明します。平成19年4月1日から新しい電子公証制度がスタートしていますのでフロッピーディスクでの認証の嘱託ができなくなっていることに注意が必要です。

以前とは異なり、「公的個人認証サービス」の電子証明書も使用できるようになっていますし、アドビ社の「Acrobat」を除けば、高価なソフトを買い揃える必要もなくなりました。多少の手間はかかりますが、「印紙税4万円がかからない」という事情は変わりませんので、一考の価値はあると思います。

電子定款とはどんなものか
電子定款というのは、定款をワードや一太郎などで作成しさらにPDF化した上で、ある特定のソフトを用いて電子署名を付したもののことです。この電子定款をフロッピーディスクに収めてそのまま公証役場で認証を受けられるようになったわけですが(平成14年4月1日スタート)、現在はこの方法によることができず、法務省のオンライン申請システムを通じて行うものとされています(後述)。


電子定款のメリットについて
電子定款の最大のメリットは、設立に際して印紙税4万円が節約できるということです。

従来は定款は紙で作成するしかなく、印紙税法別表第一の六により、公証人が保存する定款の原本については4万円の印紙税を納付する必要があり、定款の表紙の裏に4万円の収入印紙を貼りつけていました。公証人への手数料5万円と合わせて9万円もかかっていたわけです。

現在、公証役場での電子定款認証サービスにおいては、この電子定款は印紙税法上の「文書」に該当しないとされ、印紙税4万円を納付しなくてもよいことになっています。将来的にどうなるかはなんとも言えませんが、当面は課税の対象にはならないと思います。

さて、確かに最大のメリットではあるのですが、今年の3月までは実際に電子定款を作成しようとすると必要なソフトが高額だったりして、かかる費用が節約できるはずの4万円を軽く超えてしまっていました。そのため、すでにソフト等を準備した行政書士や司法書士が行っている電子定款認証手続きの代行サービスに頼む場合も多かったのです。1〜2万程度の報酬を支払っても、4万円安く済むわけですからお得だったわけです。

ところが今年の4月になって事情はやや変わりました。住民基本台帳の情報に基づいて発行される「公的個人認証サービス」の電子証明書を使って電子公証制度(後述)を利用することができるようになったからです。

この電子証明書を用いて電子定款を作成する場合には次のものが必要になります(法務省オンライン申請システムのサイトで無償配布している署名プラグインソフトを使用する場合)。
 
 @ 公的個人認証サービスによる電子証明書(ただし、住民基本台帳カードが必要です。)
      → 電子証明書の発行: 500円程度   住民基本台帳カードの作成: 500円程度

 A ICカードリーダライタ
      → 機能にもよりますが、3千円〜1万円で購入できます。

 B PDF変換ソフトAdobeAcrobat5.0
             AdobeAcrobat6.0 (Standard、Professional)
             AdobeAcrobat7.0 (Standard、Professional)
             AdobeAcrobat8.0 (Standard、Professional)
      → 2〜4万円といったところでしょう。

 C 署名プラグインソフト
      → 法務省オンライン申請システムのサイトで無償配布


合計すれば4万円前後といったところですから、紙ベースの定款で認証を受けるのとさほど変わらないことになりますが、ICカードリーダライタや電子証明書は他の電子申請にも使えますから、行政書士等に依頼しないで自分で電子定款を作成するのも一考の価値はあると思います。ただし、手間と時間をある程度費やすことになることは覚悟しておきましょう。


他のメリットとしては、設立登記申請の際に、法務省のオンライン申請システムによって電子定款のデータを提出することが可能になるということが挙げられます。

これまでは、電子定款を登記申請の添付情報として提出する方法として、「書面により提供を受けた認証ある電子定款と同一の情報」を提出するか、「データにより提供を受けた認証ある電子定款と同一の情報を保存したフロッピーディスク」を提出するかの二通りしかありませんでした。つまり、書面又はフロッピーディスクを手渡しで提出していたということです。これにもう一つ方法が加わったことになります。政府の電子化推進は着々と進んでいるようですね。

上に述べた「オンライン申請システムによる電子定款データの提出」というのはあくまで登記の申請に関する話であって、公証人による定款の認証とは関係がありません。くれぐれも混同されませんように。

なお、この法務省オンライン申請システムで提出できるのは、平成19年4月1日以降に指定公証人の認証を受けた電子定款に限られます。それ以前に認証を受けた電子定款については、従来の2種類の方法のどちらかで提出することになります。


新しい電子公証制度とは
平成19年4月1日から開始された新しい電子公証制度について少し述べたいと思います。

これは同日に施行された「指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する省令の一部を改正する省令」に基づく制度変更です。

これまでは電子定款の認証を公証人に嘱託する際、電子定款をフロッピーディスクの形式で提出していましたが、平成19年4月1日からはフロッピーディスクの形式では提出できなくなり、すべて法務省オンライン申請システムを通じて公証人への嘱託を行うことになります。

また、上述したように、住民基本台帳の情報に基づいて発行される「公的個人認証サービス」の電子証明書を使って電子公証制度を利用することができるようになりました。


このシステムを利用するにあたっては法務省認証局自己署名証明書というものを取得したり、ユーザ登録をいくつか行ったりと、いくつかの事前準備が必要になってきます。

また、Microsoft Internet Explorer7(日本語版)やMicrosoft Windows Vista(日本語版)で正常に動作するかを調査中とのことですので、これらをお使いの場合は法務省に確認をとっておいた方がいいでしょう。(少し待ってくれとのことですが。)

システムの利用方法や利用環境については法務省のこちらのサイトで分かりやすく説明しているので是非ご覧になってください。


電子定款で認証を受けるには
では、認証を受けるまでの流れをざっと説明したいと思います。


1.電子証明書の入手

電子公証制度を利用して電子定款の認証を受けるには、まずは電子証明書を取得する必要があります。行政書士用と司法書士用のものを除けば、次の3種類のうちから選択することになります。

「商業登記に基づく電子証明書」(電子認証制度を運営する電子認証登記所)
http://www.moj.go.jp/ONLINE/CERTIFICATION/index.html
「AccreditedSignパブリックサービス2」(日本認証サービス株式会社)
http://www.jcsinc.co.jp/service/a_sign.html
「公的個人認証サービス」(地方公共団体)
http://www.jpki.go.jp/

電子証明書を入手するまでの手続きについては、自分の経験からしても相当面倒なイメージを持っていましたが、「公的個人認証サービス」による電子証明書の発行はわりと簡単なようです。この場合は市区町村役場で手続きを行いますが、電子証明書発行の際には「利用者クライアントソフト」(CD-ROM)というものを受け取ります。このソフトは後でパソコンにインストールすることになります。実際の手続きの方法については住所地の市町村役場で一度聞いて見るとよいと思います。

ちなみに当事務所で使用している電子証明書は、「行政書士用電子証明書(ビジネス認証サービスタイプ1-G)」というもので、有効期間は2年ほどで料金は14,700円。商工会議所会員であれば12,600円です。「公的個人認証サービス」の電子証明書が500円で発行されて3年間も使用できるのと比べるといかにも高い料金です。なんとかならないものでしょうか。


2.オンライン申請システムへのユーザ登録

オンライン申請システムを利用するには、いくつかの事前準備の手続きが必要となります。この手続きにの詳細については、オンライン申請システムののサイトの「ご利用方法」ページをご参照ください。

「ご利用方法」ページで利用環境に問題がないことを確認した上で、同ページの指示に従って次の六つの手順を踏むことになります。

  ・安全な通信を行うために必要な証明書(法務省認証局自己署名証明書)の取得/登録
  ・JREのインストール
  ・オンライン申請に必要なプログラム環境とインストーラのインストール
  ・電子署名(デジタル署名)に必要な申請者の電子証明書の取得
  ・ユーザ登録
  ・操作ガイドのダウンロード


3.PDF作成ソフト等のソフトウェアの購入・インストール

これまでは、PDF作成ソフトの他に署名プラグインソフトを購入する必要があり、製品によってはさらに認証済文書等表示ソフトなる代物も必要でした。

しかし、新しい電子公証制度が始まって、法務省オンライン申請システムが無償提供するPDF署名プラグインを使用できるようになり、必要なソフトはアドビ社の「Acrobat」のみとなりました。

法務省オンライン申請システムのPDF署名プラグインを使用する場合は、「Acrobat」のバージョンは5.0、6.0 (Standard、Professional)、7.0 (Standard、Professional)及び8.0 (Standard、Professional)に限られます。

PrimoPDF等の無料のPDF作成ソフトで電子署名ができるという情報もありますが、動作が相当不安定という話も聞きますので、あまりおすすめできません。なお、「Acrobat」の30日間無償体験版というのがありますが、現在は「 Acrobat 8 Professional 」しかダウンロードできないようなので、電子定款の作成に利用することは諦めた方がよいでしょう。

アドビ社の製品しか使用できないというのも問題があるように思いますが、現状を受け入れるしかありません。


4.ICカードリーダライタの購入と利用者クライアントソフトのインストール

ICカードリーダライタというのは、シャープ、NTTコミュニケーションズなどが製造していますが、おそらく大き目の量販店なら普通に売ってるんではないかと思います。ヨドバシカメラやビックカメラのオンラインショップなどでもいくつも販売されています。どの製品を購入するにしても、必ず公的個人認証サービスに対応しているかを確認するようにして下さい。

ICカードリーダライタのドライバをインストール後、市町村役場で受け取った「利用者クライアントソフト」(CD-ROM)をさらにインストールします。電子証明書の中身を確認できますので、画面の指示に従って確認しておきましょう。


5.定款のPDF文書化と電子署名

購入した「Acrobat」で、Wordや一太郎で作成した定款をPDF文書に変換します。変換したPDF文書には発起人全員が電子署名する必要があります。

なお、行政書士や司法書士に定款作成を依頼した場合、つまり定款作成を代理させた場合は、その行政書士等が電子署名をすることになります。


6.法務省オンライン申請システムによる電子定款の認証の嘱託

オンライン申請システムを利用して実際に認証の嘱託を行います。ログインした後は、適宜選択しながら「電磁的記録の認証の嘱託」という画面まで進んでいきます。その時、「公証役場で文書を保存する」に必ずチェックマークが入っていることを確認してください。


7.登記申請のための紙ベースの「同一情報の提供」の取得

発起人全員の印鑑証明書を持参し、紙ベースでの「同一情報の提供」の交付申請をします。
公証役場と連絡をとって公証役場に行く日次をしっかり確定させておく必要があります。



       


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